テーマ「自立・自律」
「魚を一匹もらうと、一日は食べていける。
魚釣りの方法を学ぶと、一生食べていける。」孔子
『自己調整学習の指導』バリー・J・ジマーマン
知識を得るだけなく、知識を得る方法、学び方(読書と振り返りなど)を身につけることが大事。
「見たことは忘れる。
聞いたことは覚えている。やったことは理解する」
中国のことわざ 『グループの力を生かす』
体験から学ぶことの重要性
記憶に残る割合
「聞いたことは、10%
見たことは、15%
聞いて見た事は、20%
話し合っときは、40%
体験したときは、80%
教えたときは、90% 」
『効果10倍の<学び>の技法』吉田新一郎 岩瀬直樹
体験や学び合いの重要性
自律の重要性 自制も克己も自律に含まれると考えています。
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彼はまた弟子たちを実際家としても立派な人物にしたことを、私はここで述べておこうと思う。何かひとかどのことを成し遂げようとしている人には、自制の力の存することが良いことであるとの信念から、まず第一に、自分がなんびとよりも自己鍛錬につとめているのを弟子たちにはっきり見せ、次に談話によって、何よりも克己の修養につとめるように、弟子たちに説いてきかせたのである。されば、つねに彼は、美徳の修養に助けとなる事物のことを、自らも念頭より離さず、また弟子たちにもすべての者に、しじゅうこれを思い起させていた。あるとき、彼がエウテュデーモスと自制について次のように論じたのを、私は知っている。
「言ってみなさい、エウテュデーモス、君は自由が個人のためにも国家のためにも、立派なそして荘厳な宝であると思うか。」
「無上の壮麗な宝と考えます。」
「それでは、肉体の快楽に支配され、そのために最善のことが行えない人間を、君は自由の人と考えるか。」
「決して考えません。」
「たぶんそれは、最善のことを行なうことが自由と見えるからであり、それゆえにまた、これを行なうのを妨害するもののあることが束縛であると君は考えるからだね。」
「まったくそのとおりです。」
「まったく君には、無自制の人間がすなわち束縛の奴隷と、思えるのだね。」
「そうです、そう思えます。」
「では無自制な人間は、もっとも立派なことを行なうのをさまたげられるだけと思うか、それともまた、もっとも卑劣なことをもせざるを得なくなると思うか。」
「私の考えでは、それがさまたげられるのに劣らず、これもせざるを得なくなると思います。」
「最良のことを妨害し、最悪のことを強いる主人というものは、どんな種類の主人と君は考えるか。」
「世にも最悪の主人です。もちろん。」
「そしていかなる奴隷生活を君は最悪と思うか。」
「それは、最悪の主人に仕えるもののそれでしょう。」
「すると、無自制な人々は最悪の奴隷生活をしているのだね。」
「そうだと思います。」
「智という最大の善を、無自制は人間の頭から追いのけ、人々をして智のまさに逆におとしいれると君は思わないか。または、人々を快楽に誘って、有益な事柄に心をむけ、これを学び覚えるのをさまたげ、そしてしばしば善悪の識別に頭を混乱させ、善いことよりも悪いことをえらぶようにさせると思わないか。」
「そうなってゆきます。」
「しからば、エウテュデーモス、思慮に縁なきこと無自制な人間に若くものあると言えようか。思うに、思慮のなすところと無自制のなすところとは、まさに正反対であるからだ。」
「これもご意見に賛成です。」
「肝要な仕事にはげむのを、無自制よりももっとさまたげるものがあると思うか。」
「もちろん、思いません。」
「有益なものを捨てて有害なものをえばらせ、これを大切にして彼をおろそかにするようにすすめ、思慮の教えるところと正反対のことを強いるものより、もっと人間のために悪いものがあると思うか。
「ありません。」
「自制は無自制と反対の結果を人間に生ぜしめるとは思わないか。」
「まったくそう思います。」
「しからば、この正反対の結果を及ばす根源は、最大の善と言ってよくはないか。」
「もちろんいいでしょう。」
「すると、エウテュデーモス、自制は人間最大の善であると言えそうだね。」
「言えそうです、ソークラテース。」
「エウテュデーモス、君はあれを考えて見たことがあるか。」
「なんですか。」
「すなわち、快楽が無自制の唯一無二の目標と考えられているが、無自制というものは決して人間をそこへ連れて行く力はなく、かえって自制は何ものにもまさって人を楽しみにみちびくことができるという事実だ。」
「どうしてですか。」
「それはこうだ。無自制は飢えも渇きも肉欲も眠気も、これをがまんすることを許さない、ところがこれができてこそうまく食い、うまく飲み、性愛も心地よく、休息も睡眠もはじめて楽しいのであり、よく待ちよくがまんしてこそ、それらにひそむかぎりの最大の快味が生まれるのであって、無自制はもっとも本然の、もっとも継続的な快楽を、真正に楽しむことをさまたげるのである。ただ自制のみが、よく上述のことをがまんせしめて、ひとり上述のことにおいて言うに足る快味を楽しませるのだ。」
「いかにも言われるとおりです。」
「その上、また実に、何か美にして善なることを学び、そして、己の身体を見事に修め、自らの家政を立派にととのえ、友人および国家のために有益な人物となり、敵を破るなど、ただに助けとなるのみか、そこから最大の愉快が生れて来るところのものの、いずれかにはげむ楽しみは、自制ある人々がこれらのことの実行によって味わうのであるが、無自制な人はこれにあずかることができない。なぜといって、目前の快楽の追及に心を奪われて、こうしたことを実行する力のまるで欠けている人間より、もっとこれらのことに縁のない人間がどこにあると言えようか。」
するとエウテュデーモスは言った、
「ソークラテース、あなたがおっしゃるのは、肉体の快楽に負ける人間にはいかなる美徳も全然縁がないということのように思います。」
「そうではないか、エウテュデーモス、無自制な人間はもっとも無智な動物とどこがちがうか。もっとも大切なことに心をそそがず、あらゆる手段を用いてもっとも愉快なことばかりしようとしている人間が、どうしてもっとも愚鈍な家畜と異なるか。ただ己れを制し得る人々のみが、物事のうちのもっとも緊要な物に心をそそぎ、行為につき言葉について種類にしたがってこれをより別け(deialegontas)を避けることができるのだ。」
そしてかようにして人々は、至善にして至福の人間となり、かつ討論(dialegesthai)の最大の達者になると彼は言った。彼の言うところによれば「討論」という言葉は、寄り集まって物事を種類にしたがって「より別けつつ」、ともに事を議することから出ているのであった。さればわれわれはすすんでこれに習熟するように日頃から大いに心掛け、大いにこれにはげむことが大切である、なんとなれば、こうすることによって人々はもっとも優秀な、万人の頭領たる、討論に秀でた人物となるからであると言った。
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『ソークラテースの思い出』クセノフォーン著,佐々木理訳
目標(ゴール)設定の重要性
「もし、はしごをかけ違えていれば、一段ずつ昇るごとに間違った場所に早く辿り着くだけである」『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー
「目標が適切に設定されたら、ほぼ半分が到達したことになる」アブラハム・リンカーン 『グループの力を生かす』
「ハーバードビジネススクール(Harvard Business School.HBS)で実際にあった話ですが、1979年度のHBSの学生のうち:
・3%は将来の目標を紙に書いていた
・13%は将来の目標を持っていたが、紙に書いていなかった
・84%ははっきりとした目標を持っていなかった
さて10年後の彼ら/彼女らの収入を見ていると、将来の目標を持っていなかったが、紙には書いていなかった13%の人は、はっきりとした目標を持っていなかった84%の人の平均2倍の収入がありました。そして将来の目標を紙に書いていた3%の人は、残りの97%の人のなんと平均10倍の収入があったのでした。
目標を書くことの大切さはビジネスの世界に限ったことではありません。第42代アメリカ合衆国大統領ビル・クリントンも、学生のころから、『政治の世界に入り大統領になる』という目標を紙に書き、常に持ち歩いていたと自伝『My Life』で述べています。」『研究者の仕事術』島岡要
「目標とは、ご承知のとおり仕事や課題において目指すゴールのことであり、それをやり遂げたときの到達点のイメージである。その仕事で何を達成するのか、その仕事をやり遂げたときにどのような状態になっていたいのか、などが目標ということになる。こうした目標を設定することで、進むべき方向がはっきりし、その目標に向かって仕事や課題を着実に遂行していくことができる。
さらに認知心理学に見ると、目標設定には、進むべき方向を見定めるということのほかにも大切な役割があると考えられる。それは、『仕事の意味づけ』である。
仕事の意味づけとは、その仕事があなたにとってどういう意味があるのか、あるいは、長期的なスパンで考えるとどういう位置づけなのか、などを考えることである。」『プレイフル・シンキング』上田信行
「人生における目標とは、単に到達するためのものではない。それは『現在の状況を変化させていく積極的過程』であり、『完成し成熟し洗練していく不断の過程』である――であるというのです。」『デューイとその時代』
「明確な目標はもちろん『W杯本大会でベスト4入ることに本気でチャレンジしねえか』ということ。みなさんはいろんな成功の書とか読んで「目標設定って大事だ」と思っているでしょうが、今みなさんが思っている10倍、目標は大事です。目標はすべてを変えます。 」岡田武史
体験学習サイクルについて
「(最も大事なものは何だろうというヴィルヘルムの問いに対し)それを言うのは簡単だ。考えて行うこと、行って考えること、これがあらゆる知恵の結論だ、昔から知られ、昔から実践されてきたが、誰でも理解できたわけじゃない。(中略)人間悟性の守護神は生まれてくるものすべての耳に『行いを思考によって、思考を行いによって吟味せよ』と囁きかけるが、これを原則とする人は迷うことがないし、たとえ迷ったとしてもすぐに正道に戻ることができるものだ。」『ウィルヘルム・マイスター遍歴時代』ゲーテ
・体験学習サイクルの図と説明
・中村選手のサッカーノート
学びの原則(吉田新一郎氏が、認知心理学や脳の機能の解明でわかってきたことをまとめたもの)
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①人は皆、常に学んでいる。ただし、各自の学びの動機や学び方、スピード、持っている能力が違うだけ
→マルチ能力を含めた多様な教え方が求められる
②安心して学べること(人は頭だけでなく、心や体を使って学ぶ)。さらに言えば、楽しい方がよく学べる
→人間関係を含めた、サポーティブな環境や雰囲気づくりの大切さ
③積極的に参加できること
→聞かせるだけでなく、生徒たち自身が主体的に動いたり、考えたり、体験することが大切(知識は伝えるものではなく、生徒たち自らがつくり出すもの。技能・態度も同じ。それには教師の刺激的な投げかけが効果的。
④意味のある内容/中身を扱うこと(身近に感じられること)
→人は白紙の状態から学ぶのではなく、それまでの体験や知識を踏まえて学ぶ
⑤選択できること
→与えられたものをこなすよりも、自分が選んだものの方がよく学べる(生徒たちは、何を、どう学び、どう評価するかの選択まで参加できるし、実際にそうしたときの方がよく学べる。換言すれば、生徒たちを信じて、学びの責任を与える。その際、高い期待を生徒たちに示し、容易にできる選択だけでなく、努力すればできるレベルのものも提示する)
⑥十分な時間があること
→たくさんのことを短期間でカバーするだけでは、よく学べない。身につくまで練習できることが大切。
⑦協力し合えること
→競争させたり、バラバラで学ばせるより、相互にやり取りした方がよく学べる(今日、何人かでできたことは、明日、一人でできる)
⑧振り返りとフィードバックがあること
→自分自身で頻繁に振り返り、かつ教師や他の生徒からフィードバックもあるとよく学べる
⑨互いに讃え合うこと、教える機会が提供されること
→よく学べたときは、祝う、ほめる。他の人に教えるチャンスが与えられること(その際マルチ能力のような多様な表現の仕方があるとよい)、よりよく学べるし、意欲がわく
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「チームビルディングの意味
・パフォーマンス
・プロダクティビティ
・クリエイティビティ」