読書 切りとれ、あの祈る手を---〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話 ②

予定を変更してこの本を買いにいって読み始めたことがよかった。
文字の歴史は5000年、まだまだ戦いは始まったばかりです。


フェルマーの最終定理」という数学者の歴史物語を読んで数学を好きになりました。


「切りとれ、あの祈る手を---〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話」は読書と革命の歴史物語。読むことがより好きになりました。読書の価値の認識が深まった。読むという行為自体の尊さを感じました。エピソードって大事。「フェルマー最終定理」も「切りとれ、あの祈る手を---〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話」も数学と読むことの凄いエピソードが盛りだくさんだった。そういった物語を通して読書や数学の価値を少しでも知ることができるし、さらに興味を持つことができる。


佐々木さんは高校を中退したらしい。
理由は明記されていなかったけれど、
おそらく高校の教育が合わなかったからだろうと思う。



牧口先生が語ったヘルバルトの思想を思い出す。素晴らしい知識と教師。
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「従来の教授では知識授与の目的を達する手段として、面白く教授したものであるが、それは間違ひである。興味を起こさせる目的の為めに知識を供給するのでなければならぬ、といふのが、ヘルバルト派の新しい主張であつた。即ち目的と手段と顚倒する訳であつて、素人の考からすれば意外の感がある程の改革であるが、熟考すれば、なる程それに違ひないと肯かれる。然るにそのヘルバルト主義の流行した時代は、己に三十余年過ぎて居る今日、ヘルバルトのへの字も教育界でいふものがない程になつたのである。そして其後に幾変遷を重たのに拘らず依然として知識注入主義の教授は改められず、今の尚お流行して居て、今日の病弊を来したのである。」



「如かず、必要の場合に、自力を以て収得する力を養成せんにはと。仍ちヘルバルト主義が教育の目的は知識の授与にあらずして、興味の涵養にありと主張して所以で、目的と手段とを全く顚倒せしめた教育史上の一大革新であつたのである。」



「教育は知識の伝授が目的ではなく、学習法を指導することだ。研究を会得せしむることだ。知識の切売や注文ではない。自分の力で知識することの出来る方法を会得させること、知識の宝庫を開く鍵を与へることだ。労せずして他人の見出したる心的財産を横取りさせることでなく、発見発明の過程を踏ませることだ。」



「教育は環境に対して価値を見出させる事だ。而してこの依つて生ずる物理的、心理的原理を探求せしむることだ。そして自己の生活を之に適応せしむるによつての新価値を発見せしむることだ。即ち観察と理解と応用との方法を会得することを指導することだ。

 斯うして知識の宝庫を開く鍵さへあれば、万巻の書籍を暗誦しなくても、生活上に必要な知識は自ら得られるものだ。」
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http://d.hatena.ne.jp/Teruhisa/20101031/1288527351



高校生の時にドストエフスキーニーチェを読んだ。両方とも分かった気になっていただけだったと思うけれど、すごい読書経験だった。「カラマーゾフの兄弟」は3回読んだけれど、ニーチェはあれ以来読んでいない。それでまたこの本でドストエフスキーニーチェの話題に帰ってきた。トルストイドストエフスキーが作品を世に出した時代のロシアの文盲率は90パーセントだったらしい。人口はたしか4000万人と書いてあった。ほんの少しでも読める人から、バリバリ読める人が約400万人いた。今よりも断然厳しい時代に文学を創った偉人。理解を深まれば尊敬の念も深まる。
この本を読むと思うけれど、ドストエフスキーの本を読めること自体が奇跡だった。


RWやWWの翻訳されていない本を読もうというモチベーションにもつながった。とくにミニレッスンの具体的なアイディアは英語の情報を読むことでさらに充実していくと思う。


ネクターをすることで人文系の学者は新たに解釈を創りあげて論文にすることがあると思いました。たぶんコネクターって日本の国語教育は分析的な読解とただの感想文で、ほとんど教えてこなかったことだと思う。つなげる読み方は読み書きをする人が自然にしていることだけど、その読み方を優れた読書家がしている行為として一般化したアメリカの国語教育の研究は素晴らしいと思う。


あと想起するのは、
「われわれの生活のあらゆる外面的変化は、われわれの思想に生ずる変化に比べえば、取るにも足りない。」というトルストイの言葉。
最近読んでいる「READING ZONE」も思想の変化を促す本だと思う。その意味ではこれから読もうとしているテクニカルな本よりも大事かもしれない。より効果的な20パーセントの核となる部分が思想だと思います(技術もあるだろうけれど)。



ルターのエピソードは他の本で読んだ時も思ったのですが
日本の日蓮を想起します。聖典に帰れとか実証主義の態度など。