読書 教育改革の幻想

教育改革の幻想 (ちくま新書)

教育改革の幻想 (ちくま新書)

拾い読みの再読。前に読んだのは大学生のときだから5年以上前。


感想


さすがたしか東京大学大学院の先生。ネチネチした実証研究(このしつこさと執念が文系に限らず科学者の強みだし面白さだと思います)でさすがだと思いました。もっとアメリカの教育の現状について詳しく知りたいと思いました。近いうちに最初からまた読んでみようと思う。


子ども中心主義で失敗したアメリカの事例。反発的に単純に逆の方向に流れるんじゃなくて(ちゃんと批判の批判をして思考をやめない人もいるらしい)、デューイに帰ったほうがいいと思いました。デューイは経験の質が問題だということを言っていたと思います。経験の質を決める要因は、楽しさなど快さだけではありません。刈谷さんの本を読んでいて、アメリカの一部の教育行政の人や現場の教師の方たちは、少なくともデューイを誤読して、根本的に残念な方向に進んでしまったということを感じました。知識はいらないとか、学び方だけ学べばいいとか、学び方だって知識ですよ…、とても極端で不自然な方向の話だったと思います。


国の考えと教育現場は違うということを感じました。個性や自由を大切にするというよりは、現場は個性や自由を抹殺という感じが強いです。自分が受けた教育に関して言うと何がねらいなんだか分からない。受験に勝つことねらいとしても中途半端だし、ワークショップやPBLなどが意図しているような授業でもない。本当の子ども中心主義の教育なんて受けたことないですね。子ども中心?中途半端すぎて話にならない。偽物。これ以上はよくないと分かっているので、ここで終わり。


安易な子ども中心主義に疑問を投げかけている本。その考えを重く受け止めます(バランスは大事。でもバランスの取り方も大事だと思います)。それでも自分は子ども中心主義という言葉が誤解を生みそうですが、子どもの活動が中心の授業をしたいです。子ども中心主義では、基本的な知識を軽く扱いがちだということが書いてあったと思います。しかし、自分は知育や知識を重視するから逆に子どもの活動中心や意欲や学び方を重視する授業に惹かれます。長期的に考えないと分からないことだと思う。短期的な結果だけ見ても、分からないことってあります。その分からない短期的にでない結果の価値のほうが人生や世界の人々には価値があると私は思います。ただ子供同士の関係づくりと意欲と学び方が高まれば短期的にも結果は出せると思います。


バランスについて考える。特に歴史などの教科書など。これは地図やカタログみたいなものだと思う。これだけ覚えても話にならない。極端な例で地図帳のような教科書があって、世界の地名と場所を正確に全部覚えることが大切だと思えない。これをすべての子どもたちに求める価値ってないと思う。ただ頭の中にアメリカの位置や日本の位置がこのくらいなど大ざっぱのイメージや知識があることは、他の様々なことを理解する前提になるので、基本的な知識は大事。細かい知識の確認は教科書のカタログや地図が簡単に頭に入っていれば、必要な時に教科書などで確認すればそれで十分だと思う。ただのカタログが頭に何もないというと、それは大きな問題だと思います。でもそのカタログ的な教科書だけで終わっていたのが伝統的と呼ばれる教育だと思う。様々なことを探求していくこと、これから一人ひとりが人生の価値創造をしていくことなど、そのためにこれだけは頭にいれておいたほうがいいという基本的な知識はあると思います。それをどこまで求めるかということが大事な問題だし、求め方にも大きな問題があるし(瑣末な知識を画一的に子どもたちにそんなに求めて何の意図や意味があるのって思う。ただ話が跳ぶのですが、読む力がある人の政治批判を読んでいて文法の知識は大事だと思いました。)、その知識ははじまりに過ぎないです。



少し最初から読み始めたけれど、「ゆとり教育」ってのは酷いですね。レベルを下げたらみんな100点とれるようになるだって。何言ってんのです。意味ない。目標下げたらそりゃ誰だって達成できるし分かりますよ(スモールステップとは違います)。ただ楽になるだけはインチキです。何でこんなへんなところで消極的なんだよ。そこは積極的に攻めるところだと思う。しっかりとした目標設定をすること。それに問題は教育経験の質です。ここを高めるための方策や考えじゃなくて、スロースタートで高校・大学でがんばる?すべての時間が大切なんです。ふざけた一念の連中が教育をトップで動かしていた。同じ落ちこぼれ問題でイエナプランに進んだオランダと比べると理念に天と地の差があると思う。子ども中心主義といったって、本家の人の思想が分かっちゃいないです(僕も認識が浅くて分かっていないですが、素人の僕よりも分かっていないと思う。あんた教育行政のトップクラスの人なんだから、その道のプロなんじゃないの?)。だからこんなに浅くて陳腐な考えなんだと思います。


よく分からないけれどとても感情的になってくる。刈谷さんの実証はクールです。でも集める資料にも限度があるから、こういう研究って難しいですね。


非建設的に誰だかわからない人を責めてしまっている。ここまでにして建設的な行動に移ろう。指針を思い出そう。まずは祈ろう。自分に目を向けよう。