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「読む楽しさ」を知るのは人生の宝物

質問 私は、本を読むおもしろさがわかりません

 「本を読む楽しさ」を知らないということは、人生の巨大な損失です。こんな不幸なことはない。
 いっぱいの宝物にかこまれていながら、その価値を知らないために、貧しい暮らしをしている人のようだ。
       ☆
 自分の経験だけだと「1人分の人生」だが、本を読むことで、無数の人の経験や知識や、ドラマを学ぶことができる。
 一生の「心の友だち」もできる。もう死んでしまった大偉人や大文豪と「会話」もできる。
「本の発明」は、人類の歴史の中で、最大の発明の一つです。
 この発明品の「使い方」「楽しみ方」を覚えたら、もう人生は最大の武器を手に入れたようなものだ。
 本は知識をくれる。
 本は感動をくれる。
 本は勇気をくれる。
 本は思いやりをくれる。
 本を読む習慣さえ身につけておけば、その人の道に「希望」が消えることはないのです。
     ☆
 テレビやマンガは、はじめから映像や絵がある。だから、みんなが自分で努力しなくても、そのままイメージができる。
 だけど、本は活字だけ。もう見てるだけで眠くなったり、息苦しくなっちゃうという人もいる。
 でも、少し慣れてくれば、活字の一つ一つが、生きもののように、姿を変える。黒い文字が、緑の樹々になり、赤や黄の花壇になり、青い海にもなる。
 音だって聞こえてくる。生まれたばかりの赤ちゃんの感動的な産声も、悪と戦う勇者の叫び声も、ベートーヴェンの名曲の調べも。
 それが本です。「想像力」の力です。「活字を読む」ことによって、「想像力」が、どんどん鍛えられていくのです。
 ☆
 人間が人間らしく生きるために、何が大切か。私は、「想像力が絶対に大切だ」と思う。
 コンピューターだって、「こんなものがほしい!」と思った人の頭と心の中から生まれたのです。
 想像力こそが、人間を進歩させてきた。想像力は、創造力です。

 別に、机に向かって読むだけが「読書」じゃない。ちょっとした時間に読んだものが、案外、心に残っているものです。
 だから、まず「いつも本をもち歩く」ことでしょう。ポケットやカバンに入れるとか、肌身離さない。読まなくてもいいからとにかくもっている。

(中略)

 ともかく、みなさんは若い。頭と心の柔らかな今こそ、思うぞんぶんに、本を読んでもらいたい。
 本の世界は「第2の宇宙」です。その広大な世界を、自由自在に旅行できる人のなってください!
=============================================『希望対話』より


本はクワみたいだという話もそうだけど、本の価値のみごとな語りだと思います。自分が高校生の時に読書にチャレンジしようと思わせたのは『青春対話』とこの語りの力でした。