「私たちが必ず読んでおかなければならない、それを読まなければ幸福にもなれない、人間形成もできないというような本のリストなどは存在しないのである。けれども各個人にとって、まさにその人自身が読んで満足と楽しみを味わうことのできる書物はかなりたくさんある。

 このような書物を徐々に見つけ出して、持続的なつきあいをはじめ、できることならそれらをしだいに永続的に外面的にも内面的にも自分の所有物として獲得すること、それは各人自身の個人的な任務であって、その遂行をゆるがせにすると、必ず自分の教養と楽しみの領域を著しく狭くし、したがって自分の存在価値を一段と低下させることになる。(中略)

 自分がどんな人間とつきあうかということに無関心でない人、自分の身辺に自分が親近感をもてる人びとを選んでとくに大切にする人、さらに、自分の生き方、住まい、自分の着る衣服の種類と着方や自分のとくに重要な生活習慣の特色と様式を尊重する人は、書物の世界に対しても、自主的で友情のこもった親しい関係をもつこと、そして自分の読むものを自主的で個人的な趣味と欲求に従って選ぶことがぜひ必要である」

 ヘルマン・ヘッセ「書物とのつきあい」から(V・ミヒェルス編『ヘッセの読書術』岡田朝雄訳、草思社



本に限らずおしゃれとかも大事だなあって思う。
ほとんどユニクロしか着てない。
おしゃれを楽しんでいる人は豊かだなあとも思う。