戸田城外

『推理式指導算術』に関する二つの論文を読みました。

戸田城外著 『推理式指導算術』の研究 一推理式指導の解明を中心に一
戸田城外著 『推理式指導算術』研究のための序説 一同時代における算術参考書との比較検討を手がかりに一

一つは桝田さんという高校の数学の先生が書かれたもの、もう一つは駒野さんという、おそらく人文系の博士課程の方が書かれたものだと思います。もし合理性の極みのようなものが存在するなら、そういう参考書なのかもしれない。

論文が素晴らしくて、労作というか、川島清さんのもそうですけど、紙面から情熱をとても感じました。きっと情熱がないと書けないと思う。

教科書の変化の乏しい問題を普段やっているのに、突然、年末あたりにやる実力テストでは、思考力(この参考書で言う推理する力)を試すということで、ふだんやっていないような難しい問題を、しかも大量にテストすることに対して、毎年疑問を抱きます。実力テストのレベルの問題が解ける思考力をゴールとするならば、普段の使う教科書や授業がそうなっているべきですが、まず全員が利用できる教科書がそのような作りになっていないと思います。教材が実力テストに対応できる配列になっていない。

これがすべてだとは思わないけれど、戸田の参考書は、この問題を解決する教材と授業のヒントになりそうです。上手く授業に反映できればと思います。

http://libir.soka.ac.jp/dspace/bitstream/10911/779/1/KJ00005454492.pdf
http://libir.soka.ac.jp/dspace/bitstream/10911/786/1/KJ00005454493.pdf