俳句 北大路翼

天使の涎

天使の涎

お気に入りの俳句

爪切ればどこまでも飛ぶ春の海
春光を輝き返すバッジかな
一日中マスクの中の空気吸う
飛ぶよりも止まつてゐたるときが蝶
ギリギリの傘のかたちや折れに折れ
全力で寝そべつてゐる夏の雲
綿菓子のやうなおかんを連れ歩く
煙から空気に還る月の下
終電の後に月まで行く電車
長き夜のギターの腹に丸き闇
秋風をばくばくするのはやめなさい
オカリナに口つけるとき涼しくて
虫の音も鼓動も生きろといふ祈り
雪合戦負けず嫌ひの眼が真っ赤
臆病な心に届くスープかな
炒飯のはらはら花の降るごとし
ぽろぽろとウインナー足すポトフかな
どら焼きをくはへたままで障子貼る
除雪車はがんがん進む歯を磨く