読書 トルストイ

文読む月日〈上〉 (ちくま文庫)

文読む月日〈上〉 (ちくま文庫)

トルストイが晩年最も力を入れた作品が、
たしかこの「文読む月日」と「イワンのバカ」などの民話集です。

ぱっと上巻を開いたら教育について書いてあるページでした。一年間教育を学び、また読むと、さすがトルストイだなとより深く共感したのでした。



「私としては、教師たちは教師たちで講義の時間を決め、学生たちはそれを出席するもしないも自由、という具合にしたらいいと思います。まったく奇怪至極な教育制度をでっちあげてしまったわれわれの目に、それがどんなに不思議に見えようと、完全な学問の自由こそ、換言すれば、学生たちが行きたいときだけ勉強に行くことこそ、およそ実り多き教育に不可欠な条件です。それは、食物が真に身につくのは、本当に食べたいときに食べた場合だけであるのと、なんら変わりはないのです。」528項


「以上のことを実行するのはなかなか困難であることはわかるのですが、自由の欠如が教育に致命傷を与えることを知る以上、やむをえないではありませんか。いや本当はわれわれが、馬鹿な真似はいっさいやめようと固く決心さえすれば、別にそう困難でもないと思うのです」529項


意識的暗示と無意識的暗示という話もおもしろいです。口ではいいことを繰り返し言っても、大人の生活に問題があれば、それが子どもの無意識に影響を与えることは免れないです。家庭の保護者の存在が一番大きいでしょうね。振返るといい意味でも悪い意味でも影響を大きく受けているように思います。


トルストイも立派だけど、実はこの翻訳している北御門二郎もとても立派な人です。良心的兵役拒否者です。世界中が狂っても、本当の賢人は狂わないようです。しかも翻訳がとても正確らしいです。他の翻訳はかなり間違っているらしいです。翻訳家として一流の人みたいです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E5%BE%A1%E9%96%80%E4%BA%8C%E9%83%8E