読書 バイロン詩集

路のない森に、愉楽がある。
さびしい岸に、陶酔がある。
ふかい海のほとり、だれひとり邪魔だてを
 しないところに、社交がある。
ふかい海のとどろきに、音楽がある。
ぼくは、人間を愛さないのではない。ただ、
 自然のほうをよけいに愛すのだ。
自然に親しく対面することにより、過去の
 ぼく、未来のぼくからはなれて行き、
そして、宇宙に融合したいと思うのだ。
そして、ぼくにも表現しえないもの、ぼくに
 かくし包みえないものを感じ取りたいと
 思うのだ。

           (「大洋のうた」より)