- 作者: ジンメル,清水幾太郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1980/04/16
- メディア: 文庫
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一つの空しさから覚めようとしている。ビールも空しいけどね。
ジンメル『愛の断想日々の断想』
これは味わい深いです。今日は飲みながらこれを振り返ろう。
次に読み始めた『論文の書き方』もすっごくいい。
ハウツー本と対極にある本。授業の改善につながりそう。
「生命の増殖だけに役立つ性的本能に、生命のことなど全く忘れた愛が結びついて来た――これは、生命からの素晴らしい解放である。芸術が自然的なものを超える瞬間、同じことが見られ、宗教的なものが恐怖や期待から離れる瞬間、同じことが見られる」11項
「恐らく、人々は、私と同じように、生命というものを世界観の中心に据えて尊重して来たに違いない。そして、その結果、彼らが知ったのは、生命はこれを守るべきものではなく、捧げるものであるということであった。」64項
ほんとそうだ。もらってばかりで、これからだ。このジンメルからももらっているし、返す番だね。
「自然科学は可能的必然性を目指し、宗教は必然的可能性を目指している」65項
「人間の心というのは、役に立たぬ手段で行う最大の宇宙的な試みである。」72項
「人間を理念まで引き上げることは出来る。しかし、理念を人間まで引き下げることは出来ない」88項
「幾つかの偉大な思想だけは本当に自分のものにしておかなければならない。明るくなるなどとは思いも及ばなかった遠いところまで、それが光を投げてくれるから。」88項
「大きな問題と、その解決がもう期待されないのに、それでも問題へ向かって行く勇気と、人間として、これ以上のものを望み得ようか。」89項
この言葉がはじめて読んだときひっかかったのですが、この3回目くらいでさらにずーんと心に入った。
「すべての人間だけでなく、すべてのものを自己目的であるかのように取扱うこと――そうすれば、宇宙の倫理が生まれることになろうか」89項
ブッダみたい。スッタニパータ。ブッダを超えているかも、意味が。
こういう人を豊かにしてくれる本がある。うれしいよ。永遠を感じるよ、そして歴史も。