「この世の害悪は、知性の欠如のせいであるとそっくり同じく、道徳的欠如のせいであることは認めなければならないと、私は思う。だが人類は、今までのところ、道徳的欠陥を根こそぎにする方法を何も発見していない。説教や訓戒は、従来の悪徳のリストに、偽善を加えるだけである。反対に、知性は、有能な教師なら誰でも知っている方法で、わけなく改良される。したがって、徳を教える方法が何か発見されるまでは、道徳の改良よりも、むしろ知性の改良によって、進歩を求めるべきであろう。」ラッセル『懐疑論