希望の虹 世界の偉人を語る 第8回 科学者キュリー夫人より
クラスの子たち向けに編集・修正
恩師ほど、本の価値やロールモデルとなる大人についてよく語れる人はいないと思う。
ロールモデルは自分で探究して思うけれど、こういった文章が子どもたちにとって、そのきっかけになってくれるとうれしいです。
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実りの秋は、おいしく、栄養のある、海の幸や山の幸にめぐまれる季節です。みんなも、モリモリ食べて、じょうぶな体をつくってください。
また「読書の秋」だね。10月末から11月の初めは、「読書週間」となっています。良い本は、心の”ごちそう”です。思いっきり読んで楽しさを味わい、グングンと成長してください。
世界には、みなさんと同じ年のころから本をたくさん読み、やがて科学の大発見をした女性がいます。マリー・キュリーです。その発見のおかげで、多くの命が助かりました。「キュリー夫人」として、今もたたえられ、感謝されています。きょうは、このキュリー夫人と”学びの旅”に出かけましょう!
マリー・キュリーは、150年ほど前の1867年11月7日、ヨーロッパの中央にあるポーランドという国に生まれました。3人のお姉さんと、1人のお兄さんがいる末っ子でした。
お母さんは、マリーが生まれるころには、重い臆の病気にかかっていました。「結核」という病気です。
マリーは、小さい時から本が大好きで、読書にはげみました。
マリーが暮らすポーランドは、何年も前から他の国に支配されていました。学校の授業でも、ポーランド語を自由に使うことは禁止されていました。自分たちの国の言葉で、自由に本を読み、勉強することができない時代だったのです。マリーは、それをとてもくやしく、悲しく思いました。
そんな子どもたちのために、中学校の先生であるお父さんは毎週、詩や物語、歴史を読んでくれました。イギリスやフランスのお話を、ポーランド語で聴かせてくれることもありました。お父さんが読んでくれる本が”太陽”となって、マリーたちの心を明るくしてくれたのでした。
学校に通い始めると、マリーはますますたくさんの本を読み、勉強するようになりました。
しかし−−悲しい出来事が起こりました。愛するお母さんが亡くなってしまったのです。マリーが10歳の時でした。
長い時間がかかりましたが、マリーたちは、悲しみから立ち上がりました。その心の支えとなった大きな力は、本を読むことでした。
苦しい時、つらい時にも、良き本はいつも、はげましを送ってくれます。勇気や希望を呼びさましてくれます。本は、たのもしい友だちなのです。
マリーは、学校を一番で卒業してからも、多くの人の役に立てるようになりたいと、勉強をがんばり続けました。お金はありませんでしたが、学びに学んで、フランスの大学にも行くことができました。
やがて、理科の研究に熱中するようになったマリーは、大学を卒業すると、フランスに残り、理科の先生のピエール・キュリーと結婚して、キュリー夫人と呼ばれるようになりました。
2人は力を合わせて、研究を重ねました。そして、努力のすえに、まだ発見されていなかった新しい物質を取り出すことに成功しました。これを「ラジウム」と名づけ、病気の治療や科学の発展に役立てていったのです。
1903年、すばらしい研究が評価され、2人にノーベル物理学賞が贈られました。この最高の研究に贈られる賞が、今年は日本人の博士たちに決まり、明るいニュースになりましたね。
キュリー夫人は、それから大切な夫を事故で亡くすという大きな悲しみにもあいました。しかし、断じて屈しませんでした。さらに前を向いて、研究を続け、1911年にノーベル科学賞を授業しました。
多くの苦しみにも、悲しみにも負けなかった夫人の心の強さ、明るさ、かしこさは、世界中の人々を、どれほど力づけたことでしょう。
2人の女の子のやさしいお母さんでもあったキュリー夫人は、戦争中、はなれて暮らす子どもたちに手紙を送りました。
「勇気をもって、耐えること」「嵐のあとにも青空がもどってくることを、信じつづけなくてはね」と。そして、「未来のために」学びぬくようにはげましました。
2人は、大好きなお母さんにこたえて、努力をつらぬきました。お姉さんは大科学者となり、母のキュリー夫人と同じノーベル化学賞を受賞しました。また妹さんは作家になってお母さんの伝記を書き、本の力で、世界中にキュリー夫人のりっぱな人生をつたえていったのです。
勉強し、本を読むことは、みなさんの未来に、たとえ、つらく悲しい雨は風の日があっても、「嵐のあとの青空」を広げ、希望の虹をかけます。
本を読めば、どんなしれんにも負けない心を持つ人になります。本と仲良くすれば、どんなつらいことも、いっしょに乗り越えていけます。
本を読めば、知らない世界や、すばらしい人のことを知ることができます。どんな国の人とも心が通じるし、だれとでも友だちになれます。
先日も、とてもむずかしい法律の国家試験に最優秀の成績で合格した先輩が、「小学性の時に本をたくさん読んだことが、すべての力のもとになっています」と話してくれました。その青年は、歴史のマンガなどから本に親しんでいったそうです。
みなさんも、ぜひ、「本を読む人」「本と仲良しの人」になってください。きょうみをもてる本からで、かまいません。
この秋、一冊でも、多くの本と、友だちになってみようよ!
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