学び直してはっきりしたこと、分かったこと・疑問など。
国連憲章では自衛戦争（自衛権の行使と違う）を否定している。国連憲章２条。日本国憲法９条はそのことの確認でもある。
国連憲章では個別的自衛権と集団的自衛権について認めている。国連憲章５１条。
しかし日本国憲法では個別的自衛権を認めるが、集団的自衛権は認めないというのが、多くの憲法学者や政府の解釈だった（その解釈には根拠がある）。今回の安保法案は、自衛権の行使を、集団的自衛権の行使へと広げるものであり、これまでの憲法解釈を変更するものだという認識で間違いが今のところないと思う。
第２条〔原則〕
この機構及びその加盟国は、第１条に掲げる目的を達成するに当っては、次の原則に従って行動しなければならない。１
この機構は、そのすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている。
２
すべての加盟国は、加盟国の地位から生ずる権利及び利益を加盟国のすべてに保障するために、この憲章に従って負っている義務を誠実に履行しなければならない。
３
すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない。
４
すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。
５
すべての加盟国は、国際連合がこの憲章に従ってとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を与え、且つ、国際連合の防止行動又は強制行動の対象となっているいかなる国に対しても援助の供与を慎まなければならない。
６
この機構は、国際連合加盟国でない国が、国際の平和及び安全の維持に必要な限り、これらの原則に従って行動することを確保しなければならない。
７
この憲章のいかなる規定も、本質上いずれかの国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国際連合に与えるものではなく、また、その事項をこの憲章に基く解決に付託することを加盟国に要求するものでもない。但し、この原則は、第７条に基く強制措置の適用を妨げるものではない。
日本国憲法９条は、国連憲章２条にある内容を憲法とするという外交宣言でもある。これは明言しているのが日本の特徴の一つだと思う。
第５１条〔自衛権〕
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国が措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。
国連憲章と日本国憲法の違い。
国連憲章は５１条で個別的自衛権と集団的自衛権の行使について害するものでないと明言している。日本国憲法には個別的自衛権と集団的自衛権という言葉はなく、それらに対する明言はない。規定していないものは「許されない」というのが、法解釈の基本。しかし、憲法の９条と１３条を両立するものとして、個別的自衛権の行使については政府からも多くの憲法学者からも広く認められてきたが、集団的自衛権については違憲だとの認識だった。
今の自分の認識と考え。
９条を明言している状態から、この内容を撤回するような憲法改正は正直、僕は論外だと思う。様々な理由で反対。一つは、外交的に、国際法を守りませんというメッセージを発していることと同じになるからだ。
政府が安保法案を成立させたいなら、国連憲章を見習って、集団的自衛権と個別的自衛権に関する項目を付け足す（加憲）などの方法で、改憲の手続きを経てから、法案を成立させるべきだ（どちらにせよ集団的自衛権にも自分は反対しますが、それ以前の根本的な問題を現政府は抱えています）。これは手続きの問題で、時の政府が勝手に憲法の解釈を変えることによって、違憲立法するならば専制政治だと言われても仕方ないと思う。
久しぶりに憲法学者さんの本を読んで学び直して、こういう歴史学的にも解釈学的にも思索を深めている、学問の積み重ねをしている人たちに耳を傾けないとだめだと思った。憲法学者を政治家が馬鹿にして彼らの精緻な解釈や議論に耳を傾けず、自分たちが憲法の解釈をしてきたって、それは三権分立を否定しているのと同じではないのだろうか。長年の、世界大戦のなどの歴史など経て苦心の中積み重ねてきた学問を否定するのは野蛮なことだと思う。
小林節さんがどんな人か知らなかったけれど、改憲派でも有名な憲法学者さんらしい。憲法学者にも様々な考え方の人がいて、その様々な考え方の多くの憲法学者に違憲だと判断されているのが安保法案です。
