クールジャパン

Tさん

【ほんまものの日本を知ってるイギリス人が、「クールジャパン」とやらに、辛口提言】
デービッド・アトキンソンさんご存知ですか?
よく、テレビ東京の職人番組とかにでてくるイギリス人。
日本中の国宝・重要文化財級の神社仏閣、美術品の修復を手がける小西美術工芸社の社長です。
しかも、その前は、アンダーセン、ゴールドマン・サックスソロモン・ブラザーズで、アナリストばりばり。
ご存知なかたはご存知やと思いますけど、経営だけのために、小西美術来たんちゃいますよ。
オクスフォード大学で、日本学勉強してたんですよ。茶道で「宗真」という茶名ありますよ(裏千家)。
ほんとの意味の、日本のいいところを知ってるデービッドさんが、クールジャパンのばからしさ加減、日本が一番と考えることのおろかさを語ってます。
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本当にクールジャパンは残念です。アニメやアイドルが好きな人ばかりを日本に集めていいのですか? 自動販売機や四角いスイカを目当てに世界から観光客が来ると、本気で思っているんですか? もちろん、本当にクールなものが日本にあることはわかっています。でも現在のところは、単に日本人がクールだと考えているものを外国にむかって押しつけているだけです。
こうした思考法に日本の「弱み」が表れています。すなわち、真剣に分析しないで、一方的な思い込みだけで戦略を立てる、というところです。
要するに、上から目線なのです。外国人の考えに配慮することもなく、単に日本人が「強み」だと思っているものを押し付けているだけ。そういう意味では失礼ですらあります。「日本のおもてなしは世界一だ」と語ることは、間接的に「アンタの国のおもてなしはダメだ」と語っていることにもなるのですよ。
たとえば私がCEOを務めている小西美術工藝社は、国宝・重要文化財の補修では7割以上のシェアを持つ業界トップの企業です。ですが自分の技術のすごさを自慢している職人は見たことがありません。毎日のように「上には上がある」ことを見ているので、そこに向かって黙々と自分の仕事をしているんです。
 
逆に、京都にいるような実績の少ない職人のほうが口が達者です。京都で一番なら日本一だ、と思い込んでいる。上を知らないからこそ、怖いもの知らずでいい加減なことを言えるんです。本物を知る人は、なかなか適当なことを言えませんよね。
今の日本の問題は、本物ではなくなって、自信がなくなったからか、他者を貶めるようなアピールをしがちなところにあると思います。
 
かつての日本は「世界一」などというアピールはしませんでした。黙々と自分の仕事をやったうえで、グローバルな現場に乗り込んで、ちゃんと相手国の人と対話をして、良い仕事をしていたんです。上から目線になったのは最近になってからです。
もちろん世界一の日本人もいます。でもそこからが問題なのです。たとえばある日本人が、イタリアのピザ職人の大会で一番になると、なぜか日本のピザが全部世界一だ、という話になってしまう。トヨタが世界一だからといって、日本全体のものづくりが世界一だ、とはならないのです。特殊事例を一般化して自慢しても、外国人は馬鹿にされたように感じるだけです。
 
勤勉な日本人がいるのも事実ですが、日本の生産性は世界26位です。「勤勉」を一般化できないのは明らかでしょう。一般化という思考停止を続けていては、日本人は自分の「伸びしろ」に気付くことができないままですよ。
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英国人アナリストの辛口提言──「なぜ日本人は『日本が最高』だと勘違いしてしまうのか」 | いまこそ読み直したい! | クーリエ・ジャポン


ジンメルの言葉を思い出す。大事なこといっぱい書いてあるな…。
「高い人間とは、自分より高いものを自分の上に持っている人間にほかならぬ。自分より高いものを自分の上に持たぬという意味で絶対的なのは、ただ低い人間だけである」
ジンメル『愛の断想・日々の断想』清水幾太郎訳、岩波文庫
世界一だなんてアピールするのはジンメルの言葉からすれば、自分から「低い人間」であるとアピールしているのと同じ。