直観による実証科学の卵みたいなのものは、
ソクラテスの時代からある。
ソフィストたちの学問は自然学。
でもその方法が洗練されてきたのはここ最近のこと。
ソクラテス以後、中世までは、
内省的な哲学的な、形式的な思考が西欧の中心となった。
教育哲学はその延長にあったけれど、
実証的なアプローチが必要だと、
社会学のデュルケムや心理学のヴィゴツキーなどが出てきて、
教育社会学や教育心理学が隆盛した。
今はどうなんだろうか。
斎藤正二先生の本で歴史的にそれぞれのアプローチの意義を考えると、
やはりそれぞれに違った意義があると考えられる。
教育哲学、教育心理学、教育社会学それぞれまだ死滅していないし、
それどころか、大いに影響力がある。
今の公立の教育の目的や計画、カリキュラムは、これらの学問が土台にある。
あまり必読とかいう自信はないけれど、
斎藤先生の本は必読だと思う。
歴史学的考察から分かる、基本的なことって大事で、
教育にどんな意義があって、何ができて、何を目指すべきなのか、
それは歴史学的な考察や哲学的な考察からいくらか明瞭になってくるように思います。
素朴で基本的なところを押さえることは大切だと思う。
苫野 一徳さんの『教育の力』はどのように位置づけられるのだろう。苫野さんも似たような問題を扱って解答しているか。こういう究極的な普遍的な根本的な問題について探究するのが哲学の特徴。
だからこういうどこから来てどこへ行くのかような目的を問うような時には、哲学や歴史学のアプローチが有効。
教育心理学などの実証科学は限定的な局所的な問題に傾きがち。あまり根本的な問題を扱うには適さないと思う。