俳句アンソロジー

俳句アンソロジー(2016)
          

閑さや岩にしみ入る蝉の声(松尾芭蕉
五月雨を あつめて早し 最上川松尾芭蕉
荒海や佐渡によこたふ天の河(松尾芭蕉
古池や蛙飛び込む水の音(松尾芭蕉

乗りながら馬の糞する野菊哉(夏目漱石
どつしりと尻を据えたる南瓜かな(夏目漱石
秋風や棚に上げたる古かばん(夏目漱石
水仙の花鼻かぜの枕元(夏目漱石
草山に馬放ちけり秋の空(夏目漱石
秋の川 真白な石を拾ひけり(夏目漱石
秋風の一人を吹くや海の上(夏目漱石
別るるや夢一筋の天の川(夏目漱石
灯を消せば涼しき星や窓に入る(夏目漱石
耳の穴掘つて貰ひぬ春の風(夏目漱石
菫ほどな小さき人に生まれたし(夏目漱石


柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺正岡子規
風呂敷をほどけば柿のころげけり(正岡子規

春の海 終日のたりのたり哉(与謝蕪村
朝顔や一輪深き淵の色(与謝蕪村
菜の花や月は東に日は西に与謝蕪村

雪とけて村いっぱいの子どもかな(小林一茶
やせ蛙まけるな一茶これにあり(小林一茶
雀の子そこのけそこのけお馬が通る(小林一茶
蟻の道雲の峰よりつづきけん(小林一茶
やれ打つな蝿が手をすり足をする(小林一茶
名月をとってくれろと泣く子かな(小林一茶
うまさうな雪がふうはりふうはりと(小林一茶
我ときて遊べや親のない雀(小林一茶
猫の子が手でおとす也耳の雪(小林一茶

遠足のおくれ走りてつながりし(高浜虚子
ゆさゆさと大枝ゆるる桜かな(村上鬼城
青がえるおのれもペンキぬりたてか(芥川龍之介
とんぼつりきょうはどこまでいったやら(加賀の千代女)
水たまり空のすべてを中に閉じ(イタリアの俳句)

あいうえおかきくけこであそんでる(小2女)
ぼんおどり大好きな子のあとにつく(小6女)
まいおちる木の葉に風がまたあたる(小5男)
ねこの耳ときどきうごく虫の夜(小4女)
くりごはんおしゃべりまぜて食べている(小3女)
あきばれやぼくのおりづるとびたがる(小1男)
座禅会むねの中までせみの声(小6男)
かいすいよくすなやまかいがらすいかわり(小1女)
風鈴に風がことばをおしえてる(小4女)
ドングリや千年前は歩いてた(小5男)
海の夏ぼくのドラマはぼくが書く(小2男)
ぶらんこを一人でこいでいる残暑(小6男)
春風にやめた先生のかおりする(小4女)
ガリバーのくつあとみたいな夏のくも(小1女)
夏みかんすっぱいあせをかいちゃった(小1男)
なのはなが月のでんきをつけました(小1女)
せんぷうき兄と私に風分ける(小5女)
転校の島に大きな天の川(小4男)
つりばしがゆれてわたしはチョウになる(小3女)
水まくらキュッキュッキュッとなる氷(小5女)
そらをとぶバイクみたいなはちがくる(小1男)
しかられたみたいにあさのバラがちる(小2女)
かっこうがないてどうわの森になる(小3女)
星を見る目から涼しくなってくる(小4男)
いなごとりだんだんねこになるわたし(小1女)
夏の日の国語辞典の指のあと(小5女)
墓まいり私のごせんぞセミのから(小4女)
あかとんぼいまとばないとさむくなる(小1男)
青りんご大人になるにはおこらなきゃ(小6女)
あきまつりうまになまえがついていた(小2女)
あじさいの庭まで泣きにいきました(小6女)
天国はもう秋ですかお父さん(小5女)
台風が海をねじってやってきた(小6女)
話してる文字が出そうな白い息(小6男)
えんぴつが短くならない夏休み(小6女)
秋のかぜ本のページがかわってる(小2女)