あるのは今だけだ

図書館で借りて
『エンパワーメントコミュニケーション』岸英光を読んだ。
カウンセリングとコーチングの本。
いい本だった。また読みたい。メモ。

「プロセスの質を追い求めれば深い充実感が得られる」という話があった。

「目標や目的は、それを達成したときにしか達成感を感じられません。しかし一方には、目標を達成しなくても達成感にあふれている人がいます」

消防署の特別部隊に勤務しているある消防士がいる。彼の仕事は、例えば、20人を救出するなど、目標が明確だ。しかし、目標を達成できることは、少ないそうだ。そのため、達成感がなく、若い隊員の中には、なぜこんな仕事しているのだろうと悩む人も少なくないらしい。

ところが、本書で紹介されている彼は、仕事を生き生きと続けているらしい。著者は、彼が、目標や目的ではなく、ある「質」を生きていることに気がついたという。ベクトルのようなものに従って行動しているのだと。

彼は著者との対話で「俺の前には1人しかいなんだ」と言った。
例えば、20人救出するという目標があっても、彼にとって、20人のうち1人しか救出できなかったから失敗であるとか、18人救出できたから成功であるという評価は一切ないという。彼の頭の中に、20人という数字は入っているものの、彼はとにかく一人を見つけ出すまで探索を続ける。一人の安全を確保したら、また次の人のために、行動する。

彼は、常に目の前の1人を救うというベクトルに従って生きている。目標が達成できたどうかではなく、結果次第の喜びではなく、その行動自体が自分の意図にかなっているという充実感だ。

「今やれること、数字の目標を度外視して、質だけを追い求めること。そうすれば、それがどんどん結果になってあらわれてきます。」

「目標や目的とは、別にあるいは、それ以上に大切なものに、ベクトルやプロセスの『質』というものがあります。自分自身のプロセスにどんな質がほしいのか、それが見えれば、結果に関係なく充実感が得られるのです。」

著者の話にあった、
未来に達成する「目標のために生きているのではない」とは言い切れないけど、その目標や目的のためだけに生きているのではないと思う。

「今」が楽しかったり、苦しくても充実していないと不幸だ。みんな常に「今」を生きている。学校で、ただ将来のために、勉強しろというのでは、子どもは辛い。自分で選んだことの方がよく学べるとか、ある程度原則がある。楽しい勉強か、苦しくても達成感のある勉強してもらえるように工夫したい。