道徳形而上学の基礎づけ-光文社古典新訳文庫-イマヌエル-カント

ものすごく長い解説を読みながら振り返り中。冒頭のところは美しいしすてきです。
「無制限に善であるとみなせるもの、それはこの世界においても、この世界の外においても、ただ善い意志だけである」p29
「善い意志が〈善い〉ものであるかどうかは、それがどんな働きをするか、それがどんな結果をもたらすかによって決まるのでもない。善い意志はそれが意欲されることによって、すなわちそれだけで善いものである。善い意志はそれだけで、その意志が、ある一つの〈心の傾き〉を満足させるために(いや、お望みなら、すべての〈心の傾き〉を満足させるために)実現できるかもしれないすべてのものよりも、比較ができないほど高く評価されるべきものである。
 とくに運が悪くて、あるいは自然が[意地の悪い]継母のようにごくわずかな天分しか与えられなかったために、この[善い]意志にはその意図するものを実現するための能力がまったく欠けていたとしても、さらにこの意志ができるだけ努力したにもかかわらず、何も実現できなかったとしても、あるいはこの意志がたんなる願望のようなものではなくて、わたしたちが利用できるすべての手段を尽くしたにもかかわらず、[何も実現されずに、ただ]善い意志だけが残っているような場合でも、善い意志はあたかも宝石のように、そのすべての価値をみずからのうちに蔵するものとして、ひとり燦然と輝くのである。」p32


人生って本当に結果が出ないことがたくさんある。結果がすべてなら、人生はとても空しい。仕事では子どもたちのプロセスにある価値をもっと認めてあげたいと思う。

後半が特に難しかった。『純粋理性批判』を土台にこの本の論考があって、たぶんこの本を土台に『実践理性批判』や『たんなる理性の限界内の宗教 』も書かれていると思う(予想)。だからこの本を理解することはかなり重要だと考えています。カントはできるだけ読もう。とてもためになる。『実践理性批判』と『たんなる理性の限界内の宗教 』はまだ読んだことがない。解説本の知識だけ。