無藤隆

「アクティブ・ラーニング」とは方向性を示すキャッチコピー。
 アクティブ・ラーニングとは本当のところは何か、なんて大して重要とは思わない。昔から、学ぶ側の主体性を発揮させろとか、聞くだけの受け身の授業だけではいけないと言ってきた。
 今回の改訂で大事なことは、次のことだと思う。
 第一、講義だけで良いとする一部の(高校あたりにいそうな)教師にショックを与える。
 第二、アクティブな姿勢を取って学ぶことを促す指導の手だてを示唆する。3つの学びで言おうとしていることはそれだ。その各々に具体的な指導の手だての提案が入っている。
 第三、アクティブ・ラーニングの名の下で何であれともあれ授業改善への教育委員会や学校や教師の個別の努力を組織的に行うように促す。アクティブ・ラーニングなんてみんな違ってみんないいんだと思う。いろいろなやり方があり、いろいろな改善の仕方があり、心構えもあり、各種の活動やツールの導入もあるだろう。
 なお、アクティブ・ラーニングは講義スタイルの授業をまったく排除していない。そういう局面もあるだろう。大学で言えば、演習も実習も講義もあるのだ。ただ、講義が大半だとあまり効果がないのではないか。
 ちなみに、いずれ紹介したいが、教育心理学の世界でアクティブな学び方が良いとするデータはそう多くない。直接教授の効果はクリアーであるが。教育心理学者はもっとそこのあたりを真剣に考えつつ、なおかつアクティブな方向を目指すべきだと思うが。その理屈立てとデータによるサポートは結構面倒くさい。


講義ではなくてアクティブラーニングという、例えばこういう言い方をすると、講義を排除することになる。もともとこういう考え方を発信し、重視していこうというのは、一方を否定することではないです。ここらへんがよくわからない偉い人たちがたまにいます。