真剣勝負

柔術の達人と呼ばれた紀州(和歌山)の武士は、後継ぎの家族から「秘伝を教えてほしい」と請われて、こう答えた。
「特別の秘伝などない。ヘソを食い抜いてでも勝て。それが秘伝だ」(「関口柔心」森銑三『近世人物夜話』講談社学術文庫を参照)
 私が何度もお会いした松下幸之助氏も、成功の秘訣をこう語っておられた。
 「世間の人は、商売は時には損したり、時には得したりと思っています。それは真剣勝負とは言えまへん。首をはねたり、はねられたりしているうちに勝つということはありまへん。いつも勝つ。いつも得する。それが、ほんまの商売人です」
 どちらも、その分野での“達人”の言葉である。要は「真剣勝負」しかないとういうのである。
池田大作全集』87巻所収のスピーチより