眠れない夜のために1

ルソーの「エミール」を探していたら、
ヒルティの「眠られぬよるために 第一部」が出てきました。

五月一四日
 宗教上の事柄においては、ただ限りない誠意と真実のみが大切である。したがって、なんら精神のこもらぬあらゆる形式主義、たとえば、うわのそらでの食事の祈り、気のすすまない教会通い、いやいやながらの家庭礼拝などは、信仰に益するところか、むしろ有害である。いわゆる信心ぶかい家庭のきわめて多くの子弟の経験が、このことを雄弁に証明している。

七月一日
 突きぬけよ!この短い言葉は、内的生活の多くの危機に、ほとんど魔術的な効果をもつものである。
 この言葉は、まだすっかり無力になっていない理性に、その権能を棄てないように諭し、あるいは、ただ肉体的なものにすぎない気分に屈してはならないことを教える。同時に、まだ残っている善き意志に刺戟を与えて、えたいの知れぬペシミズムや、肉体的または心情的な印象によわよわしく屈服することに、反撥を起させる。
 これによって、いわば一つの急激な動きが生じ、気高い魂はふたたび自由になって、真実や正しいものに向って進むことになる。
 このような瞬間は、しばしば全生涯をも決定する重大な時である。だから、もしあなたがそのような何かに縛られている感じたなら、突きぬけよ!同胞教会賛美歌三九三番、六七六番、六九八番