読書 斎藤正二

齋藤正二著作選集 5 日本人とサクラ・花の思想史

齋藤正二著作選集 5 日本人とサクラ・花の思想史


凄く刺激的な本でした。図書館で借りて読みました。おすすめの大学者。たしか大学時代に読んで、これが一流かと思った学者の本の一つです。本当にためになった本の一つ。


昔書いたレビュー

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人間の素晴らしさと愚かさを、また一つ知りました。サクラという自然に人間が関係することによって、サクラがより美しく咲くこと。時代や社会、地域によってサクラ観が違うこと。そのサクラ観がサクラの可能性を命いっぱい引き出せるか否かに関係してくること。サクラ観が人間の生き方に影響すること。勉強になりました。愛と英知が生きとし生けるものを救うのだと思います。
『日本人とサクラ』は「日本人」と「サクラ」の関係を科学的実証的に探求した啓蒙的かつ教育的本。

著者はまえがきで「サクラに関する小さな科学史・芸術史・社会史或は政治史」を書きたかったと述べ、科学史家サートンを引用して、著書の意図を説明している。
科学史は、迷信と無智の怠け者に対する、また虚言者と偽善者、詐欺者と自欺者に対する、また、暗黒と不合理のあらゆる勢力に対する、止むことのない長期戦の物語である。芸術史は、醜悪な怠け者に対する、人生の調和よりも人生の装飾を重んじ、常に自然の美を破壊し自分の棲処を汚さうとするあらゆる人々に対する、止むことのない長期戦の物語である。社会史或は政治史は、あらゆる種類の個人的或は社会的暴政に対する、専横な取扱ひに対する、強者富者が弱者貧者に加へる利己的な行為に対する、止むことのない長期戦の物語である」

知の巨人、斎藤正二の著作を一読することを、強くオススメします。
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