文読む月日(上)

「(三)偉大な思想はハートから生まれる。(ヴォーヴナルグ)」
「(四)われわれの道徳的感情と知力とは固くからみ合っていて、一方に触れれば、必ずもう一方にも触れずにはすまない。偉大な知力も道徳的感情を欠けば、大きな禍いの種となる。(ジョン・ラスキン)」
「(七)人々はよく理性と良心を区別して、善事は強い思索力よりも大事だなどと言う。しかしながら本来不可分の霊の力を無理に区別することは、われらの本姓をいびつにする。善行から思想を取り去ったら、いったいあとに何が残るだろう?思索力を欠いたら、いわゆる良心も、妄想や誇張や悪の是認に変質してしまう。現に世にも残虐な事柄が良心の名において数多く行われてきた。人々は良心の命令と称して互いに憎しみ合い殺し合ってきたのである。(チャニング)。」
「(八)理性的な人間は、けっして悪人ではない。善人は必ず理性的である。理性を働かせることによって己れの内部の善を増大させ、愛を培うことによって理性を増大させなければならない。」