読書 道徳形而上学の基礎付け

道徳形而上学の基礎づけ (光文社古典新訳文庫)

道徳形而上学の基礎づけ (光文社古典新訳文庫)


ここ数年の自分の言動と意志(心)を反省しました。
善い意志にこそ無上の価値があるらしい。たしかにそうかもしれない。




道徳の原則は「自律」。
自分で立法して自分でそれを守るんですね、本当に善い人って。



読んでよかった。生き方、教育、仕事においてものすごく大事な指針をもらったと思う。たまに出会うことができる本当に突き抜けた本の一つです。
物自体とかカント用語が出てくるので、『純粋理性批判』についての入門書などでもいいので少しでも『純粋理性批判』について知っていると読みやすいと思います。




「たび重なる不運と絶望的な心痛のために生きる喜びをまったく失ってしまった人がいるとしよう。この不幸な人が、心を強くもって、自分の運命に臆病になったり打ちのめされたりせずに、むしろ怒りで立ち向かい、死を望みながらも自分の生命を守るならば、・・・その人の行動原理は道徳的な内容をそなえたものとなるのである」(カント)


人間性のうちには、現在の状態よりもさらに大きな完全性を目指すという素質がある」(カント)


「わたしたちが、利用できるすべての手段を尽くしたにもかかわらず、何も実現されずに、ただ、善い意志だけが残っているような場合でも、善い意志は、あたかも宝石のように、そのすべての価値をみずからのうちに蔵するものとして、ひとり燦然と輝くのである」(カント)


「無制限に善であるとみなせるもの、それはこの世界においても、この世界の外においても、ただ善い意志だけである。」(カント)


第一の定言命法の表現形式
「君は、君の行動原理が同時に普遍的な法則となることを欲することができるような行動原理だけにしたがって行為せよ」(カント)


なぜ定言命法、義務、すべきなどの表現になるかという必然性についてもカントはこの本で説明しています。僕は納得しました。


理性的存在者は分からないことが分かる。でも分かることもある。
結論もすごいと思うけれど何よりもカントの思考のプロセスがすごい。