フーコー 講義集成11 書くという行為

書くことについて

このヒュポムネーマタは自分のために役立ちますが、他人のためにも役立ちます。利得と恩恵とのこうした交換、魂の世話の柔軟な交換において、ひとは善へ、自分自身の歩みながら他人の約に立とうとするのですが、その場合にも書く行為が重要なのです。そしてーーこれは当時のきわめて興味深い文化現象、社会現象なのですがーー文通がきわめて重要な活動でした。それは霊的な文通、魂の文通、主体から主体への文通であり、その目的は政界について知らせることではなく、おたがいに自分自身について知らせること、相手の魂に生じていることについて問い合わせること、相手の魂の中で生じていることについて知らせてくれるようたずねることなのです。

フーコー講義集成11 p409

ヒュポムネーマタとは、読書記録やメモなど覚え書きのこと。



昨日は「ちいちゃんのかげおくり」という作品の感想文を読んで、子どもたちの魂で起きていることが伝わってくることを考えました。心は見えないですが、書くという行為を通して、いくらか見えるようになります。楽しいひとときでした。