ブッダは、平和主義ではなかったという命題があります。これは清水さんの結論なわけです。というのは、ブッダの時代の戦争が当たり前だった社会状況とブッダが戦争を止めなかったことを根拠にしています。しかし、ブッダは、戦争の無意味さについては語っていたと清水さんは言及していたと思います。このことだけからでも、ブッダは、近代的な価値観から平和主義者であるというのが誤りであると解釈できるとしても、ブッダが平和を志向していたことは少なくとも言えると思います。ある説を批判するのが主旨なので、それでいいのかもしれないけど、微妙なニュアンスを表現しないで、ブッダは平和主義者ではなかったと結論づけて終わるところに、復讐というか、言葉を巧み使った、解釈の復讐というか、そういうものを少し感じます。
そういうところも含めて、この本が面白くなっているところかもしれないです。
この本は、おすすめできますが、仏典自体も読んだ方がいいと思います。
解釈っていうのは、そういうものなので、なんでもいいということではないけど、面白いところですね。
戦争のない世界のために、戦争反対というだけが戦争のない世界のためにできることではないということも思う。
https://www.amazon.co.jp/ブッダという男-――初期仏典を読みとく-ちくま新書-1763-清水-俊史/dp/4480075941/