記憶

Tさん

徳丸さんの声も大きく採り上げられています。
大人になって、人なり、制度なりに、つながれる人に、共通しすることがあります。
それは、子どものころ、温かい大人との具体的な記憶を持っていること。
だから、今、子どもたちの背中に、温かい手をそえることが大切なのです。
将来のためにも。

(フォーラム)子どもの貧困:5 次の一歩:朝日新聞デジタル



カラマーゾフの兄弟の最後を思い出す。


読書 カラマーゾフの兄弟 【ネタばれ注意】 - 日記

「何かよい思い出、とくに子ども時代の、両親といっしょに暮らした時代の思い出ほど、その後の一生にとって大切で、力強くて、健全で有益なものはないのです。きみたちは、きみたちの教育についていろんな話を聞かされているはずですけど、子どものときから大事にしてきたすばらしい神聖な思い出、もしかするとそれこそが、いちばんよい教育なのかもしれません。
 自分たちが生きていくなかで、そうした思い出をたくさんあつめれば、人は一生、救われるのです。もしも、自分の心に、たとえひとつでもよい思い出が残っていれば、いつかはそれがぼくはを救ってくれるのです。
 もしかしたら、ぼくらはこれから悪い人間になるかもしれません。悪いおこないを前にして、踏みとどまれないときがくるかもしれません。他人の涙を笑ったりするかもしれません。さっき、コーリャ君は『人類全体のために死ねたら』と叫びましたが、そういう人たちを、意地悪くからかったりするかもしれません。でも、ぼくらがどんなに悪い人間になっても、そうならないように祈りますが、こうしてイリューシャを葬ったことや、最後の日々あの子を愛したことや、今こうして石のそばで、ともに仲良く話しあったことを思い出したら、どんなに惨たらしい、どんなに人をあざけるのが好きな人間でも、そう、かりにそんな人間になったとしての話ですよ、いまこの瞬間、ぼくらがこれほど善良な人間であったことを、心のなかであざけるようなことなんてできないでしょう!
 それどころか、もしかするとこのひとつの思い出が、人間を大きな悪から守ってくれて、思い直してこう言うかもしれません。『ええ、ぼくもあのときは善良だったんです。大胆で正直な人間でした』と、ね。心のなかでにやりと笑ってもかまいません。人間はしばしば、善良で立派なものをあざ笑いますから。でもそれは、浅はかさから生まれるものなんです。けれども、みなさん、ぼくはきみたちに保証します。思わずにやりとしたにしても、心はすぐにこう語りかけてくるでしょう。『いいや、笑ったりして悪いことをした、だって笑ってはいけないことなんだもの!』ってね。」p58


「そう、かわいい子どもたち、かわいい友人たち、どうか人生を恐れないで!なにか良いことや、正しいことをしたとき、人生ってほんとうにすばらしいって思えるんです!」p61