びっくりするくらい問題意識や説明が教育デザイン研究や苫野一徳さんの研究と重なるところがある。むしろ牧口常三郎の方が細かくよく説明できているとも思うし、牧口だけのものもたくさんある。(教育デザイン研究や苫野一徳さんがメタ理論体系で明らかにしたこともあると思う)。アレグザンダーの思想とも共鳴するところがある。今井むつみさんの研究にある幼児の学習過程の説明とも、ほとんど重なるような説明を牧口は初期の論文で書いていて、それにも驚いたけど、牧口常三郎は当時の哲学や科学の良質的な知識の結晶のような人物です。今もラディカルで新しいと思う。結局、カント思想の枠組みをフッサールは超えていないから。牧口は「経験」と「普遍的妥当性」という概念を使っているけれど、フッサールにとても近いと思います(もちろんフッサール哲学史の残るくらいカントの枠組みを超えていないけれど、フッサールが何を明らかにしたのかフッサール研究者が指摘するところ)。牧口常三郎の本は必読書だと思います。知らないのか、スルーしている(無視している)のかこれをレビューで触れないの?と苦笑してしまうな。
 
牧口はカントが背景にあるから、今でいう構成主義が土台にある。しかし客観主義者的なところもあって、その境界にある人だと思う(カント批判していて思想内容としてもメイヤスー的でもあると思う)。フッサールは客観主義を否定してカントのよっているわけだけど。
 
牧口を読むと、アレグザンダー的なところも、フッサール的なところも、科学的なところも、構造主義的なところも、認知科学的なところも、デザイン科学的なところも、メイヤスー的なところも見られて、本当にすごい。
 
プラトンの哲学に哲学史の全ての問題が詰まっているみたいな話(プラトンの哲学の焼き直しだったかな)を聞いたことがあるけれど、それに近いのかもしれない。