読書 さぶ

さぶ (新潮文庫)

さぶ (新潮文庫)

ずっと読もうと思っていたのですがやっと読めました。
おもしろいし、つかみがいいです。
凄くいい話でした。泣けます。
中学生以上の人におすすめしたい突き抜けた名作だと思いした。
読みたかった長編小説の名作を読んでいるのですが、
中にはいまいち微妙なのもありました。これはとてもよかったです。
勝小吉の話もそうですけど、江戸弁がいいですね。落語が聴きたくなりました。



「どんな人間だって独りで生きるもんじゃあない」
「世の中には賢い人間と賢くない人間がいる、けれども賢い人間ばかりでも、世の中はうまくいかないらしい、損得勘定にしても、損をする者がいればこそ、得をする者があるというもんだろう、もしも栄さんが、わたしたちの恩になったと思うなら、わたしたちだけじゃなく、さぶちゃんやおのぶさん、おすえちゃんのことを忘れちゃあだめだ、おまえさんは決して一人ぼっちじゃあなかったし、これから先も、一人ぼっちになることなんかあ決してないんだからね」290項
「栄さんはきっと一流の職人になるだろうし、そういう人柄だからね、尤も、栄さんだけじゃあない、世の中には生れつき一流になるような能を備えた者がたくさんいるよ、けれどもねえ、そういう生れつきの能を持っている人間でも、自分ひとりだけじゃあなんにもできやしない、能のある一人の人間が、その能を生かすためには、能のない幾十人という人間が、眼に見えない力をかしているんだよ、ここをよく考えておくれ、栄さん」291項


「世間からあにいと親方とかって、人にたてられていく者には、みんなさぶちゃんのような人が幾人か付いているわ」