読書 創造的生命の開花を

第4回入学式「創造的生命の開花を」から抜粋

 「私の胸にあふれてやまぬ”創造”という言葉の実感とは、自己の全存在をかけて、悔いなき仕事を続けた時の自己拡大の生命の勝どきであり、汗と涙の結晶作業以外の何物でもありません。”創造的生命”とは、そうした人生行動のたゆみなき練磨のなかに浮かび上がる、生命のダイナミズムであろうかと、思うのであります。
 そこには嵐もあろう、雨も強かろう、一時的な敗北の姿もあるかもしれない。しかし”創造的生命”は、それで敗退し去ることは決してない。やがて己の胸中に懸かるであろう、さわかな虹を知っているからであります。甘えや安逸には創造はありえない。
 愚痴や逃避は惰弱な一念の反映であり、生命本然の創造の方向を腐蝕させてしまうだけであります。創造の戦いを断念した生命の落ち行く先は、万物の”生”を破壊し尽くす奈落の底にほかなりません。
 諸君は、断じて新たなる”生”を建設する行為を、一瞬だにもとどめてはならない。創造はきしむような重い生命の扉を開く、最も峻烈な戦いそのものであり、最も至難な作業であるかもしれない。極言すれば、宇宙の神秘の扉を開くよりも、「汝自身の生命の門戸」を開くことのほうが、より困難な作業、活動であります。
 しかし、そこに人間として証がある。否、生あるものとしての真実の生きがいがあり、生き方がある。”生”を創造する歓喜を知らぬ人生ほど、寂しくはかないものはない。創造的生命こそ、人間の人間たるゆえんであると思いますけれでも、諸君どうだろうか(大拍手)。
 新たなる”生”を創り出す激闘のなかにこそ、初めて理性を導く輝ける英知も、宇宙まで貫き通す直観智の光も、襲いくる邪悪に挑戦する強靭な正義と意志力も、悩める者の痛みを引き受ける心情も、そして宇宙本源の生命から湧き出す慈愛のエネルギーと融和して人々の生命を歓喜のリズムに染めなしつつ、脈打ってやまないものがあるからであります。
 逆境への挑戦を通して開かれたありとあらゆる生命の宝をみがき抜くにつれて、人間は初めて真の人間至高の道を歩み行くことができると、私は確信するのであります。故に、現代から未来にかけて”創造的生命”の持ち主こそが、歴史の流れの先端に立つことは疑いないと、私は思う。
 この”創造的生命”の開花を、私はヒューマン・レボリューション、すなわち「人間革命」と呼びたい。これこそ諸君の今日の、そして生涯をかけての課題なのであります。」(100項から101項)