目的感なく勉強することが大事

Tさん

目的感なく勉強することが大事
ご存じのように、緒方洪庵適塾は、間重富東京大学の原点を作った)、橋本左内大村益次郎福沢諭吉佐野常民日本赤十字の創設者)、池田謙斉(日本初の医学博士)、手塚斐三郎(手塚治虫師のひいおじいさん)などなど、数百人の人材を出した、大阪町民の誇りです。
江戸にも、たくさんの学問所がありましたが、その両方を知る福沢諭吉は「福翁自伝」で、そのたくさんの江戸の学問所がたばになっても、圧倒的に大坂(大阪)の適塾が優勢であると言ってます。
なぜか、その両方の長所・短所を知る諭吉によれば、
江戸の学問所は、政府(幕府・明治政府)とのつながりが強く、幕府や新政府、諸大名の要請で、すぐに役立つ知識が教えられ、またすぐに就職に使える知識が教えられ、そして、卒業したらすぐに就職ばっちり。
まさに、グローバル人材をという社会(実は「会社」)の要請をそのまま受けた、
今の、日本の大学そのものです。

ところが、適塾は、学問をしたからといって、卒業したからと言って、ほとんど就職につながらない。
適塾の学生たちは、就職のためとか、出世のためを考えず、ただひたすら、原書を読むことに喜びを見いだしていたのです。
諭吉のことば――
「兎に角に当時緒方の書生は、十中の七、八、目的なしに苦学した者であるがその目的のなかったのが却って仕合で、江戸の書生よりも能く勉強が出来たのであろう。
ソレカラ考えてみると、今日の書生にしても余り学問を勉強すると同時に始終我身の行く先ばかり考えているようでは、修業は出来なかろうと思う」
「始終今もいう通り自分の身の行く末のみ考えて、如何したらば立身が出来るだろうか、如何したらば金が手に這入るだろうか、立派な家に住むことが出来るだろうか、如何すれば旨い物を食い好い着物を着られるだろうか、というようなことにばかり心を引かれて、齷齪(あくせく)勉強するということでは、決して真の勉強は出来ないだろうと思う。就学勉強中はおのずから静かにして居らなければならぬ、という理屈がここに出て釆ようと思う」

前に記録していたTさんの文章。
考えさせられるな…。
何よりも学ぶことの楽しみ、喜びが大切なんだろうな。夢中になれるってステキで幸せなことだ。子どもたちには学ぶことの喜びを見出せるようになってほしい。手塚治虫さんが言われるように夢を二つ以上もってほしいとも思うけれど…、目的、目標よりも大切なことがあるということか。



就職のことは考えないで勉学に徹しよう。