読書 道徳形而上学の基礎づけ (光文社古典新訳文庫)

再読中。
定義をしっかりするところは、
プラトンが『パイドロス』で何事か論じる時には「恋とは何か」など定義が重要だということをソクラテスに語らせていことと、この本の中身は共通している。
「徳をそのほんらいの姿で眺めるということは、道徳性から、そこに混じっているすべての感覚的なものを取り去った姿で眺めるいうこと、報酬や自愛などのすべての虚飾をとり去った姿で眺めるということである。こうしたものをとり去ってみれば、心の傾きにとっては魅力的に見えるすべてのものも、徳の真の姿と比べるといかに輝きを失うものであるかは、まだ抽象の力が損ねられてない理性をわずかでも働かせてみれば、すぐに分かることである」p128
ほんらいの徳、徳とは何かこういった本質を探究するところもプラトンの本と共通するところだと思う。でもカントのほうが思考の営みに厳しさがあるように思う。カントに比べるとプラトンの時のほうがまだ素朴な印象がある。