ペスタロッチ4

ペスタロッチー全集8巻平凡社

「ゲルトルートはいかにしてその子を教うるか」
を読み始める。

「私は何とかして苦難と取り組み、山のようにわたしの面前に立っていた多くの困難に挑み、肉体的に不可能と思われることに対しても、眼前の次の瞬間などには目もくれず、気にもかけずに、あたかも現在の瞬間しかないかのように、ひたすらそれに没頭し、それにのみ生も死も委ねるほどの意志の力を対抗させた」18項

「わたしはたった一人で誰の助けも受けないで、子供たちに授業をするように強いられたので、わたしは多勢の子供たちを互いに教え合うようにさせる技術を学んだ。」19項

「学校教育の場合特に次の点が確保されていなければならない。すなわち教師の力がほんのわずかしかないと推定されるときにも、彼はそのために害を受けないのみならず、かえって目的にかなった進歩がなされなければならない」46項 フィッシャーの言葉

「多数の児童が同時に均等に教育され、競争心が目覚され、生徒がすでに習得した知識をお互いに語りあうことが学校においても容易にされることができ、また記憶の内容を増すための従来の迂遠なやり方は、他の人為的な方法によって、たとえば教授しようとする対象の類似性・秩序・注意力の増大・音読その他の訓練によって避けれら、短縮されなかればなりません。」46項 フィッシャーの言葉

第五信 91項から95項に理論の説明がある。 難しいです。

第六信 101項からたぶん直観のABCの話。


「直観とは外部の諸対象が単に感覚の前に立つことであり、それらの印象の意識を単に刺激することにほかならない」170項


【解題】5項から主な教授の法則

1、教授の基礎は直観である。

2、学習の時期は判断や批判の時期ではない。

3、教授は最も単純な要素から出発し、そこから児童の発達に応じて心理学的の順序で行われなくてはならない。

4、教材は児童の自由の精神的所有になるまで、それぞれの点に留まっていなくてはならない。

5、教授は児童の自己活動によるべきだ。教授は講義や教訓や伝達によるべきではなくて、あくまでも児童の自己活動に訴えなくてはならない。従ってペスタロッチーは講演癖に罹って児童に何も言わせぬ従来の古い教師を極度に嫌った。いや、呪った。
 教師独りが活動して、児童にいわば補充的に一、ニの単語を言わせるような教師も同様に彼は嫌った。いや、呪った。ところが児童自身の力ないし児童の自己活動によってすべてを得させ、みずからは喋らずに児童に喋らせ、喋ることはできるだけ児童に譲る教師が、ペスタロッチーにとって真の教師だった。

6、教師上児童の個性は神聖なものとして尊重しなくてならない。「真の教師は決して生徒の発展の歩みに強制的に干渉したり、その方向を勝手に決めたり、自己の説や自己の目的を彼に強いたりしない」

7、基礎教育の主要目的は、知識や技法ではなくて、精神力の発達だ。

8、知識には能力が、認識には技能が結びつかなくてはならない。

9、教師と生徒との接触、時にまた学校の訓育は愛によって行なわれ、愛によって支配されなくてはならない。

10、教授は教育の目的に従属しなくてはならない。
教授は心術の醇化ないし善への意志の強化を目的とし、内的の富を生産し、全人間を改善し向上させて、その生活と活動とに高い霊感を与えなくてはならない。