池田先生の少年少女きぼう新聞連載の第十五回書けば未来が輝きだす!(抜粋しながらつなげたもの)2013.7.1(月)
野口博士のエピソードなどすごくよかった。
池田先生の近年の書き物でこの小学生の子たちに向けて書いた連載が最も好きです。
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書けば未来が輝きだす!
7月は、1年の折り返し地点です。マラソンでいえば、ここからが勝負です。
地球の北半球では夏。南半球では冬。
どちらも、若き生命のきたえの季節です。
日本では昔、7月のことを「ふみづき」「ふづき」と呼び、「文月」と書きました。これは、7月7日の「七夕」の日に、願いごとを書いて、飾ったからだといいます。
今でも、七夕には、願いごとを書いた短冊を笹に飾るでしょう。
昔の人は、「書くことが上手になりますように」という願いごとが多かったようです。文字や文章が、うまく書けるようになりたいと、みんな願っていたんだね。
みなさんは、どうですか?
学校の授業や宿題で「作文」が出ると、「いやだなあ」「文を書くのは、苦手だなあ」と思ってしまうかな? スラスラと書いている友だちを見て、あんなふうに書けたらいいなと思う時もあるかもしれない。
でも、大丈夫!だれでも「書く力」をもっているからです。
みんなが、見たり、聞いたり、学んだりして、心の中に出てきた思いを、「口」でしゃべれば「声」になる。それを「手」で書けば「文章」になる。あとは、その力をのびのびと引き出していけばいいのです。
自分で「文を作る」のが、苦手だったら「文を書き写す」ことから始めても、いいんじゃないかな。先生が黒板に書いた文や、本を読んで、これはいいなと思った言葉など、忘れないうちにノートやメモに書き写してみるんです。マンガで感動したセリフでもいいんだよ。
ともかく、手を動かして文を書く。このくりかえしが、大きな力になる。
文字に書いてみると、自分の思いが、さらにはっきりしてきます。ふしぎなもので、書いているうちに、何を書けばいいのか、わかってくるのです。
どんな勉強も、書くことにつながっています。だから、学び成長していけば、文章を「書く力」もいっしょに成長していくのです。
だれにでも、心に残る文章があります。
みんなは野口英世博士の名前を聞いたことがあるかな。福島県出身で、世界で活躍した医学者です。この野口博士の苦しく大変な研究生活の支えになったのが、お母さんの手紙です。
学校に行けなかったお母さんは、何度も何度も、字を書いて練習したといいます。
その手紙は、こう始まってします。
「おまイの。しせにわ。みなたまけました。わたくしもよろこんでをりまする(あなたの出世には、みんな驚きました。私も喜んでおります)……」
一文字、また一文字、一生けんめい、書かれた母の手紙を、息子である博士は、涙を流して読みました。そして、このお母さんの愛情を力を力にして、さらに多くの人の命を救っていったのです。
気どった文を書く必要はありません。大切なことは、自分の伝えたい思いを、真心をこめて書けるようになることです。
心がこもった文は、人の心を打つ。悩み苦しんでいる人を励ます力があります。
「ペンは剣よりも強し」といいます。
暴力や武力は、人をおどかしたり、傷つけたりすることはできても、人の心までは動かすことはできない。本当に強いのは、ペンの力であり、言葉の力なのです。
おとなりの中国には、「文章を書くことは後生に伝わって永久に滅びることのない、偉大な仕事である」という言葉もあります。
勇気をもって書いた正義と真実の文は、時代をこえて未来へと残っていくのです。
「作文コンクール」で、長年、しんさ委員をされていた先生が、アドバイスしてくださったことがあります。
それは、作文の中に「お・お・き・い・み・かん」を入れるというお話でした。といっても、食べる「みかん」のことではありませんよ。
作文を書く時は、「おと(音)」「おもった(思った)こと」「きいた(聞いた)こと」「いった(言った)「みた(見た)こと」「かんじた(感じた)こと・かんがえた(考えた)こと」――この六つを書くといいというアドバイスです。
それには、自分の目や耳、鼻、口、手、そして心という“六つのアンテナ”を張っておくことが大切です。
日ごろから身の回りで気になったこと、観察したことを書きとめておけるような「作文メモ」を持っていると、いいかもしれません。
読書感想文なら、本を読んで、ふしぎに思ったこと、初めて知ったこと、おもしろかったことなどを書いてみよう。主人公の身になって「自分なら、どうするか?」と考えてみると、楽しさ百倍です。それを、そのまま書けばいいんです。
友だちに、「ここがおもしろかったから読んでみて!」と、アピールするつもり書いてみるのもいいでしょう。
自分の思うこと、好きなことを、どんどん書いてみよう!きっと何かが変わる。
みなさんの未来が輝き始めます。
「さあ、きょうは何を書こうかな?」
みなさんも新たな文章に挑戦しましょう!
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